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トラウマのことを心理学用語では心的外傷と呼びます。極度のストレスを体験することによって受ける長期的な悪影響、つまりは「心に受けた傷」を意味します(本来の意味は単に「傷」を意味するギリシャ語です)。この心の傷が長期的に精神的・肉体的に影響を及ぼすと心的外傷ストレス障害(PTSD -posttraumatic stress disorder-)や急性ストレス障害(ASD -Acute Stress Disorder-)といった障害を引き起こすのです。
PTSDやASDは主に、[災害・人災・犯罪・戦争などの]外面的(客観的)な出来事に対し、[生命の危機や人格が損なわれたりする強い恐怖感・無力感・戦慄による]内面的(主観的)な出来事が伴うことが原因で発生されます。
簡潔には「どの様な出来事をどの様に受け止めたか」と言い表せます。
トラウマと言えば幼少期の出来事が多く語られることでしょう。何故幼少期の深く傷ついた出来事はその後の記憶へと影響を及ぼすのでしょう。
Q:一昨日の夜何を食べましたか?
次の本文に進む前に上記の質問を考えてみてください。
如何でしょう、何を食べてか思い出す事はできましたか?一昨日の記憶を思い浮かべる為、その日の出来事やスケジュールなど記憶の道筋を辿って思い起こそうとしませんでしたか?通常記憶とは必要な時に過程を経て思い起こされます。
しかし、トラウマとは過去の記憶が頭から離れなくなってしまうのです。何かが切欠となり、一昨日の晩に食べた食事が頭から離れなくなってしまうのです。
食べ物であればまだ可愛いかもしれません、しかしそれが恐怖の原因となる出来事であるならどうでしょう。それだけで精神的には多大なるストレスを与えることとなります。
トラウマを抱えている人は、現在の感情反応のコントロールが効果的に働いていない状態にいます。人は何か刺激を受けると人それぞれの反応を表します。その反応は過去の学習によって培った側面が大いに関係しています。学習理論の考えでは、過去の学習が現在の反応に影響を及ぼしているのです。
学習とは、根底に今をより良く生きぬく為にあります。ですから、過去の学習内容を基に現在の反応に生かすことが理想です。ですから『現在の感情反応>過去の学習』となるのが理想です。しかし、トラウマを抱えている人は過去の学習によって現在の感情反応を支配されています。つまり『現在の感情反応<過去の学習』と陥った状況です。
過去の学習が記憶から放れなければ当然の結果かもしれません。先ずは過去と現在の関係性を紐解いてみましょう。
次の質問を考えてみてください。
Q:過去の出来事に囚われている現在の出来事とは何ですか?
トラウマを克服するためには『安全な空間』『自己調整』『社会のサポート』が必要です。それら無しには危険を伴う恐れも有ります。
このように守られた環境の中で、あなた自身と周りのサポートによってトラウマに対する感情・感覚・イメージ・思考・意味付けを検証していきます。
あなたは昔に心の扉に鍵を死に物狂いでかけたのかもしれません。もし今ここでの世界が過去の世界と継続されているのであれば開ける必要はありません。先ずは環境を変えることが必要です。もし過去の住む世界から逸脱した新しい世界に居るのであれば心の扉を開けるのは今が時かもしれません。